「ウィンドミル・ベイビー」
2010年 05月 10日
ひとり芝居を観てきました。(一部楽塾ブログにアップした記事とかぶっています)
大方斐紗子さんが、12人の登場人物をひとりで演じます。
バロンなかざわさんがウクレレの生演奏で参加しています。
ウクレレだけでなく大方さんの演技に合わせてさまざまな効果音を出すのですが、これがまたすてき。
【あらすじ】
西オーストラリア北部のとある牧場にやってくるアボリジニの老女・メイメイ。
自分が洗濯女としてそこで働いていた過去を振り返る。
メイメイは、牧夫のマルバーンを料理女のサリーと取り合った末に結婚する。メイメイが身ごもり、夫は彼女にルビーの指輪を贈って赤ん坊が女の子であればルビーと名付けることを決める。しかし冷酷な白人の主人に過酷な労働を強いられ、最初の子供を早産で亡くしてしまう。アボリジニの庭師ワンマンは、自分の手入れする庭にその子供を埋めてくれる。
サリーは身体の不自由なワンマンに好意を寄せていたが、ワンマンは白人の奥さんを好いている。酒を飲むと荒れて、妻や使用人に辛くあたる白人の主人は、子供を欲しがっていないがやがて奥さんに子が宿る。そして悲しい出来事が起こり、メイメイも巻き込まれていく…。
このメイメイを演じる大方斐紗子さんは70歳を超えていらっしゃるはずですが、かわいらしく表情豊かで軽やかな身のこなし、変幻自在の声音とたたずまい、一瞬で12人の登場人物(犬も!)を演じ分けます。とにかくチャーミングで目が離せません。1時間40分をものすごい集中力で客席とのコミュニケーションも楽しく半世紀前の西オーストラリアの牧場へと誘ってくれました。
同じ座・高円寺の1では渡辺美佐子さんの「化粧二幕」が千秋楽を迎えていました。
こちらは去年観ましたが、すばらしかった。
ふたりのベテラン女優さんの宝物のような舞台を観ることができて幸運でした。
ところでオーストラリアは私が学生の頃初めて海外旅行をした、今までの価値観が変わってしまうような体験や出会いをした思い出深い国です。芝居の中でパース、アデレイド、メルボルン、ダーウィンなどの地名を聞くとなつかしく感じました。
アボリジニの白人による虐殺の話をしてくれたオーストラリア人学生の顔が浮かびました。
ちょっと遠く感じるかもしれないメイメイの物語ですが、実際に大方さんの舞台を拝見するとあっと言う間に引き込まれ、ただ懸命に生きる人の物語の前には国も人種も関係ないなぁと感じ言葉や文化を超えた演劇の力を感じました。
それにしてもすごい女優さんです。一瞬での変化、喜びから悲しみ、怒りから安らぎ、ユーモアと茶目っ気と、緊張と弛緩、愛と憎しみ、それでいて気負わない、常に軽やかでチャーミング。カーテンコールでその12人を瞬時に次々と登場させたのもすごかった!
演劇企画集団楽天団
『 ウィンドミル・ベイビー 』 座・高円寺2
◎作:デービッド・ミルロイ
◎翻訳:須藤 鈴
◎演出:和田 喜夫
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