戯曲とは
2008年 11月 27日
「作者の内在するコトバとしての劇的言語と舞台とを架橋する外化された言語としての劇である」
「高校生のための」となっていますが、演劇初心者が読み物として読んでもわかりやすくおもしろいです。久しぶりに読み直しました。Part2となっているように、「入門編」に続く「上級編」となっています。
北村想ならぬ下手村象(って・・・)という劇作家に演劇部のために戯曲を書かなければならなくなった女性教師が教えを乞うという設定でlectureが始まるのですが、この二人のやりとりがおかしい。lectureは具体的な戯曲の引用をしながらわかりやすく戯曲の書き方を教えてくれます。
冒頭の引用は「戯曲とは何か」に対する北村想さんの定義なのですが、この回のlectureでは役者の戯曲の読み方にも触れられています。よく芝居の稽古で「ホンが読めていない」「ちゃんとホンを読んで下さい」と言われるのですが、そのあたりもうまいこと言葉で説明してくれています。一部抜粋すると
「戯曲において表現された台詞というのは、ひとつの形象、つまりコトバという記号の羅列だが、このコトバには、作者の観念にイメージされた幻想としての身体というものがくっついている」
「役者は、自身の身体をもって、作者が作り出した幻想としての身体、イメージとしての身体、それを具現、舞台の上で具体化、実体化させねばならない」
つまるところ戯曲を読むときには作者が創り出した[幻想としての身体]を役者は[自分の身体という実体]をもってこの役を舞台の上で形にする(実体化する)、そして相手役についても同じように読む・・・ってこと?
よく「全体の絵が描けなければ芝居はできない」とも言われるけど、いまさらだけど演劇というのは作者のイメージを実体化させるってことですよね。そりゃあ難しいわ。言ってみればイメージの再生産なのかな?
ここだけ読むと難しそうですが、あとのところはわかりやすくおもしろく読めます。
巻末には鴻上尚史さんや成井豊さん、平田オリザさんなどの人気劇作家へのアンケートがあって、執筆に行き詰まったときの解消法は?とか行き詰まりのいちばんの原因は?なんて質問に答えてくれています。
来年の楽塾の公演はこの北村想さんの新作です。早く読みたいなぁ。もうあがっているのですが12月の発表が終わるまでおあずけなんです。
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