MW
2010年 01月 12日
手塚治虫の原作のファンだったので、映画化はちょっとなぁ・・・と思っていたのですが玉木さんの結城役は見たかったもので。悪役って演じるほうもおもしろいんじゃないかしら。原作のイメージに近い美しい結城でした。賀来神父は原作とは年齢も二人の関係もかなり変えられているので、残念。
原作は30年以上前に書かれたもので、手塚作品はかなり読みましたがこの作品にははまりました。主人公が徹底して悪なんですね、もうどうしようもなく。原因は子どもの頃に外国軍が秘密裏に開発した毒ガスを吸ったせいなんですが、これでもか、という残虐な殺人を繰り返し一片の心の痛みもない・・・ 殺すのはその毒ガス開発と流出して島民が死んだことを裏工作して現在は権力者となっている政治家や経済界の人物たちなのですが、真実を追う警察関係者や罪のない女性たちも残酷に殺すんですね。ラストまで何の救いも希望もない、というあまり子どもに読ませたくないと思ってしまう漫画なのですが。性描写も多いですしね。あ、このあたりが映画ではまったく描かれていませんでした。結城が性を利用して犯罪を重ねていく、というのも原作では重要な要素でした。主人公がとんでもない悪人、というよりはもう悪魔のような人間なのですが憎めない魅力的なキャラクターで、彼をこんなふうにしてしまった社会悪のほうに憎しみがわきます。同時に今の世界がかろうじて存在している脆さ危うさに不安を覚える作品です。
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