川のそばの家
2012年 03月 22日
北海道の南のほうの小さな村で汽車の駅まで1時間は歩かなければならず、1日に数えるほどしか汽車は来なかった。めったに隣の町にも行ったことはなかった。
祖父が家を建てるのが趣味(?)のような人で、自分で家の土台(???)を作っては大工さんを呼んで家を建てていたので、その村にいたのは多分3歳から12歳までだけど、2~3回家を建てて引っ越した気がする。土地は自分のところだし、木は山から切り出せばよかったんだしね。←ホントか?!
小学校に通い始めた頃の家は川のそばにあって、学校に行くには山道を通って行くか、自分のうちの渡し船で川を越えて行くしかなかった。山道は細くて暗くて、虫の声とも鳥の声ともつかないホーホーという音が聞こえ、時折目の前をイタチ(?)が横切り、木の上をリスが登り、カラスが鳴き、道端に蛇がとぐろを巻き、ランドセルを背負った1年生にはなかなかスリリングな登下校だった。明るい広い道路を通って帰る時は川の向こうから大声で呼ぶと誰かが農作業をやめて舟で迎えに来てくれた。この家には多分2年生くらいまでいた。その後は山のこちら側の(←どっち?)学校に近いほうに建てた家だった。
ある年には大雨で川が氾濫し、川のそばのアスパラ畑や田んぼ(だったかなぁ?)がダメになり、雨が止むと川岸に大きな木や石がゴロゴロ転がっていた。
学校の近くにも川があって、夏に泳ぐ、と言ったら川だった。泳げなかったけど。初めて海に行ったのは、多分中学以上になってから。
川のそばで親戚のお兄ちゃんと話したり、ひとりで川べりに座って、空を見てはおもしろい形の雲を探したり。今でも覚えているのは3段のデコレーションケーキみたいな雲だった。一番上にはちゃんと小さな雲が乗っていた。ひとりでいくらでも想像の世界で遊んでいたような気がする。
この村にいた小学校までの記憶はなぜかいつまでも鮮明で、それでいて、本当にあったことなのか、想像なのか、後から付け足したのか、人から聞いたのか、とんと今では確証がない。それなのに、だれかとあんな話したなぁ、とか、その時の表情や声の調子まで覚えているような気がしている。
こんな昔のことを思い出すのはお彼岸のせいかしら?