「夏の夜の夢」観劇のご感想をいただきました。

私はシェイクスピアを原書で読む会のメンバーでもあるのですが、先月の「夏の夜の夢」には15日にKWさん、16日にはITさん、KMさん、AZさんが観劇にいらしてくださいました。
会報に掲載された観劇記が素敵なのでご許可をいただいて転載します。

当然のことですが、出演者は舞台を見ることが出来ないので、観劇された方のご感想は本当にうれしくありがたいものです。
楽しんでいただいて、そしてそれを言葉にしてくださってありがとうございます。

--------------------------------------------------------------------------------

観劇記

   <きらめきの池>の妖精たち

     パルテノン多摩での「夏の夜の夢」

 (ITさん) 

--------------------------------------------------------------------------------

誰もが「面白かったー!」と言いながら夜道を帰る。

野外ステージの大階段を降り、さらに北へなだらかな丘を下るともう「多摩センター駅」。

916日の夜、2時間ほど夢の中にいた私たちは「何がよかったのか?」を駅までの

パルテノン多摩大階段道のりで大急ぎでなぞった。

パルテノン多摩の野外ステージは丘の上にあり、

<きらめきの池>という広い池を回廊とたくさんの柱が囲んでいる。

あと、照明・音響のための高い鉄塔が4基。周囲には木立が多く、森のようでもあった。

その日の夕方は空が青く、白い雲がふわふわしていた。

観客は池の前のブルーシートやベンチ席に案内されて開演を待つ。

チラシに「小雨決行、荒天中止。雨合羽持参。傘は不可」などの注意書きがあった。

「夏の夜の夢」はご存知のように、

貴族の領主や市民と職人のいるアテネ、

妖精の王とその妻と妖精たちという森の中の世界に大きく分かれている。

父親の命ずる相手との結婚から逃れたい娘と恋人の組合わせ、

その相手と彼を慕う別の娘という組合わせのこんがらかった若者たちが夜の森をさまよい始める。

一方、森では王オーベロンとその妻ティターニアが喧嘩の真っ最中。

王と妻はそれぞれ妖精を引き連れて森の木立の間から出て回廊を横切り、

柱をめぐり、池の中へと進み出る。

そのたびに妖精たちが押し寄せてくる。

名前のある妖精だけでなく、何十人も、まるで湧くように。

池の中と外、俳優さんたちは走り回っていた。

 池は浅く、水はくるぶしくらいまでしかないようだった。

それでも、何十人も集まると水しぶきが立ち、

スクリューを回しているように見えることもある。

池に浮かべたベッドでティターニアが夢を見ているときは

妖精たちがたくさんの白い傘を開いて静かに取り巻いていた。

その中に犬の頭や耳、しっぽをつけた妖精が六匹(!)いて、

主人に甘えるしぐさを可愛く演じていた。犬をよく観察している、と思った。

 夜の森の世界がアテネの昼にかわり、

池の上に浮かべた即席の芝居のしつらえで職人たちの「ピラマスとシスビーのお話」も済み、

シーシアスとヒポリタ、ハーミアとライサンダー

、ヘレナとディミートリアスの3組の結婚式が行なわれて「めでたし、めでたし」となったとき、

きらびやかな衣装の主役たちを囲んで踊りだす妖精たちの楽しそうな表情に、

観客も立ち上がった。一緒に「夏の夜の夢」の中にいたのだった。

最後にパックは、池の中のベッドに横たわり、

あのエピローグを語って静かに枕もとの灯りの紐を引く。

闇の中、開演の時に青空に浮かんでいた細い月が、

終演の時には少し西へと移動していた。 2018919日 記〕



b0131968_13294467.jpg




-------------------------------------------------------------------------------------

パルテノン多摩×劇団子供鉅人100人特別公演

 

  『夏の夜の夢』水しぶきはぜる祝祭野外演劇 

      初めての野外演劇 観劇のメモ  

 (KMさん)

 --------------------------------------------------------------------------------------

 作:ウィリアム・シェイクスピア

 訳:松岡和子 演出:益山貴司

 振付・ステージング:長谷川寧 振付:小山柚香

 青空に白い雲、水上ステージには辺りの景色が映り込み、

静けさの中、水色の蜻蛉が飛び交っている。

本邦初の?水しぶきを上げながらの

『夏の夜の夢』は916日、天候にも恵まれて大成功だった。

特殊な環境を生かした綿密な演出計画、ステージング・振り付けのすばらしさ、、、。

 白い衣装に身を包んだアンサンブルキャストが

妖精達になってわさわさと背景の楠木等の緑樹の隙間から登場してくる、

それだけで美しく衝撃的だ。劇の進行とともに日は没し、涼しい風が吹いてくる。

上手の空には三日月、下手の空には火星が輝き始めた。

若者たちが迷い込む森の木も白い衣装のアンサンブルキャスト達が表現。

41場では6匹の猟犬となって登場し、これがまた実に可愛いらしかった。

 1幕に現代化の演出がされていた。緑のキャップを被った男の子。

学校から帰って何度も「ただいまー」と呼びかけるのだが、両親は決して答えてくれない。

この男の子が桟敷前ステージから水上中央のベッドに移動してパックに早変わりする。

 俳優たちの演技もパワフルで見事だった。

演出の益山氏が様々な笑いをしかけながらシーシアス/オーベロンを演じ、

色白で妖艶なティターニアを益山兄弟の弟さんが演じていた。

対決の場は旗振りもいるダイナミックな演出。

野外で声が通りにくい中、若い女優さん方の発声のよさが際立った。

 観客を巻き込む仕掛けも工夫されていた。

白い紙を丸めて森の精霊役に投げつけさせたり、婚礼の3組や従者が観客脇の通路に座り、

水上に仕立てられたステージでのボトムたちの芝居を

一緒に見る形にしたのも一体感が感じられてよかった。 

 フィナーレは布をぶん回して水面に打ち付ける入魂のどんちゃん騒ぎ。

祝祭の音楽にのりながら出演者100人の思い思いの水しぶきをはじかせていた。

ITさん、AZさんにも会えて、初めての野外演劇を存分に楽しんだ幸せな夜だった。

【追記】

阪口さんがアンサンブルキャストとして参加された舞台、

パルテノン多摩 きらめきの池ステージでの『夏の夜の夢』は

100人による水上野外舞台劇」。

世界中に誇りたくなるようなオリジナリティー、幻想的な美しさ、

祝祭の喜びに満ちた群舞・群演に圧倒されました。

稀有な舞台に観客の一人として参加できた至福のひとときでした。

〔会報の編集後記より]



b0131968_13303219.jpg




--------------------------------------------------------------------------------------

沙翁も羨んだかと思われるお膳立てで

夢舞台は廻り始める

劇団子供鉅人 9月野外公演 『夏夢』 観劇記

(AZさん)

 --------------------------------------------------------------------------------------

立つなー!ディミートリアス、舞台が見えんっ💢思わず野次るところだった。

今ディミ君は、私の席の斜め前方通路に陣取り、職人共の素人芝居を鑑賞中。

ボンボンらしく我々後方席の庶民にお構い無く立ち上がっては、

お偉いさん同士のお喋りに興じているえぃ、ムカつく~って、「え?」。。。

こんな風にまんまと、いつの間にか私たちも

このおめでたい『夏の夜の夢』に取り込まれていたのだった。

…916日の宵、パルテノン多摩「きらめきの池」にて、

劇団子供鉅人による100人のシェイクスピア第2弾となる水上野外舞台劇。

正直たぶん出来の良し悪しのかなりが、お天気任せ。

だからこそ、この日は願ったりかなったり、絶好だったはず。

そしてこの日に観客だった我々の、何という幸運。

一期一会の秋の夜の夢。

穏やかに晴れた夕方。

暖かい、しかし暑くはない初秋の気温は、

本劇基本設定の「夏至前夜」もかくや、と思わせる。

軽く汗ばみながら辿り着いた先には

本劇舞台のアテネなのかーパルテノンだって?まぁお誂え。

野外舞台の池を回廊か、或いは花道の様に囲む遊歩道、支柱みたいな鉄塔、

設えた固定照明かと見紛う、

生の「輝く新月」=三日月(にしてはかなり太めではあったものの😅

は水上と客席、そしてその狭間を等しく舞台として、冴え冴えと照らし出す。

刻々と青の濃度を増す、夕から夜への忍びやかな気配の変化。

ぼんやりと、シュールな絵画の様に池の背後に浮かび上がる木々は、

鬱蒼とした森へと質量を増したかの様。

快くも儚い夢の様に、柔らかく微かにうねる水面。

沙翁も羨んだかと思われるお膳立て。

ショウ・タイム

客席は池の正面のみと向かい合わせる形に配列されたベンチ。

その前にはかぶりつきスペースとしてシートが敷かれていて、

多くの子供連れ家族で占められていた。

この子達、2時間もの長丁場、耐えられるのかしら?との心配を、

現れたシーシアス/オーベロン役の座長・益山貴司氏が、直ぐ様払拭してくれた。

明るく元気なトークに忽ち老いも若きも満面の笑顔、

気がつけば悪戯の共犯者に嬉々として任命されている。

さて開幕(幕は無いが)。

水上の夢舞台と我々の属する現実との狭間、かぶりつき席より少し前のスペースで、

導入部としてこの劇中での現実夢の外が演じられる。

親からネグレクトされているとおぼしき少年が登場。

どうやらこれからの全ては、この孤独なリュックを背負った坊やが、夏至前夜に見る夢。

リュック=バックパック「パック」?まさかっ。

駄洒落か否かは兎も角、彼はひとり水(夢)に入り、精霊の仕切る領域へ、

妖精の森へ向かい、悪戯妖精パックとして一夜限りの転生をする。

この劇では精霊が月光と呼応するような白、

妖精王夫妻はそれに加え星のような金銀の煌めきと闇の黒、

比して人間共はマットな極彩色、といった色分けがある程度成されているように感じたが、

この少年/パックは、衣装のスタイルこそ変化するが、配色は同じ。

変わらぬ本質を持って夢と現実を行き来できる存在、という事か。

それこそが「子供?」とまで深読みしてしまう。

ともあれ、こうして夢舞台は廻り始める。

100人の役者達は、この森を牛耳る様々な精霊であり、

愚かしくも愛すべき人間でもあり、いじらしい獣ともなって、

間断無くエネルギッシュに変化し続け駆け巡り、

池沿いの回廊様の遊歩道に蛍火のごとくあったと思えば森中の漆黒に溶け入り、

エナジーチャージされて復活再登場を繰り返す。

それはそのまま、この星にあまねく生命群について

これから最も信じていきたいevolutionの実況の様。

キャッチーなアクション、インプロのてんこ盛り攻勢で、

我々観客の活気もまんまとMAX に引き上げられていく。

フィナーレ、精霊・妖精、

そしてこちらとあちら全ての限られた命達は一体となって、

弾ける水飛沫の中、今この瞬間

、ここに共に生きて在る事を目一杯rejoiceするのだ。

「あぁ、めっちゃ面白かった

現実に戻った帰途にあって、ふと思う。

あの子は、帰ってきたのかしら?

パックとなって弾けまくっていた、あの寂しい少年。

彼は、再び暗い水を渡って此方の方へ、辛い現実に戻ってくるのだろうか。

さぁねぇ。

人間て、お馬鹿さんだね。

秋風らしくひんやりとした夜気が、悪戯パックの哄笑と共に私の頬を撫でていった。

【追記】

当日はITさん、KMさんとお会いできました。

うん10年前の文学少女のごとく、3人で感想を捲し立て合いながらの帰途は、

忘れ難い思い出となるでしょう。 

アンサンブルキャストとして参加なさっておられた阪口美由紀さんが

予めくださっていたメールの、「私を探したりするよりは全体を楽しんで。」

の言葉が深く納得できる、チームとしてのバイタリティーが

とてつもなく魅力的な作品だったと思います。



b0131968_13292282.jpg







にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 役者へにほんブログ村 演劇・ダンスブログへ


[PR]
トラックバックURL : https://misakichi4.exblog.jp/tb/28697591
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by sk_miyuki | 2018-10-01 13:31 | Shakespeare | Trackback | Comments(0)

50歳から演劇生活中の阪口美由紀のブログ。稽古・公演・映像・観劇メモや日々のあれこれ。2018年から「仮想定規」メンバー。2018年エジンバラフリンジに参加しました。Member of KASO JOGI. Perform at 2018 Edinburgh Festival Fringe.


by sk_miyuki